遺産を相続したら

相続税は、死亡した人の財産を相続したときや遺言によって財産を取得したときに納める税金です。 亡くなられた人を被相続人、相続によって財産を受け継いだ人を相続人といいます。 相続人の住所が、国内にあるか国外にあるかにより、課税される財産の範囲が異なります。 相続開始時に相続人が死亡している場合などは、代襲相続の制度があります。

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相続人や相続分は民法に定められているところに 従うのが原則です。

ただし、法定相続人の数については、相続税の計算をする場合に次のように取り扱われます。
(1)相続の放棄をした人も含まれます。 (2)養子の数は、実子のいる場合は1人、いない場合
は2人までと制限されています。 (3)特別養子・連れ子養子・代襲相続人は、実子とみ
なされます。 |

遺産は、遺言書がある場合には、遺留分を侵さない限り遺言どおりに分割されます。遺言書がない場合には、相続人全員が協議して分け方を決めます。相続人の間で争いになり、遺産分割協議が調わないときや相続人の中に行方不明者があって協議できないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができます。調停が不調に終わったときは、審判の手続きによって分割することになります。
遺産の分割ができない場合でも、相続税の申告書の提出期限までに申告・納付をしなければなりません。 |


相続税のかかる財産には、被相続人の死亡の日に所有していた現金・銀行預金・郵便貯金・株式・公社債・貸付信託・土地・建物・事業用財産・家庭用財産・ゴルフ会員権など一切の財産が含まれます。

被相続人の死亡に伴って支払われる退職金や生命保険金などは、本来の被相続人の財産ではありませんが、相続税の計算上では相続財産とみなされます。 日本の保険業法の免許を受けていない外国の保険業者と締結された生命保険契約又は損害保険契約に係る保険金が、みなし相続財産に含まれることとなりました(平成19年4月1日以後に取得する財産について適用)。

相続人が相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続財産に加算されます。 ただし、贈与税の配偶者控除の特例を受けた財産については、加算されないこととなっています。

この制度を選択した場合の贈与財産は、贈与時の価額で相続時に相続財産に加算されます。

次の財産には、相続税はかかりません。
@お墓・仏壇・祭具など
A相続人が受け取った生命保険金のうち、法定相続人1人につき500万円までの部分
B相続人が受け取った退職金のうち、法定相続人1人につき500万円までの部分

相続が開始した時に、現実に存在していた借入金などの債務のほか、未払いの税金、お通夜や葬式にかかった費用は債務控除として相続財産の価額から差し引くことができます。ただし、法事や香典返しの費用は葬式費用に含まれません。 |

土地や建物などをもらったとき、又は相続したときの評価は、原則として相続税評価額となります。



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宅地の評価方法には、路線価方式と倍率方式とがあります。
市街地の大部分で使われる路線価方式は、その土地の面している道路に1u当たりの評価額が付けられており、この評価額に面積を掛けて計算する方法です。

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被相続人やその人と生計を一にしていた親族が利用していた宅地については、次のように評価額が減額される特例があります。

なお、上記特例の要件を満たす宅地等が複数の場合は限度面積の調整が行われます。 この特例は、対象となる宅地等に関して、遺産分割が成立していないと適用を受けることができません。 |

借りた土地に建物を建てて、地代を払って利用していると借地権として評価します。

農地は、純農地、中間農地、市街地農地、市街地周辺農地の別に評価します。

この他、山林、原野、雑種地、永小作権、耕作権、生産緑地などがあります。
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建物の固定資産税評価額が相続税評価額となります。 アパートや貸家など、貸している建物については、借家権割合相当額を減額して計算します。

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相続開始の日の終値か、その月・前月・前々月の3か月間の月平均株価のうち、一番低い価額で評価します。

評価しようとする会社を、大会社・中会社・小会社に分類し、次にその株主が中心的な株主であったかどうかにより、それぞれ異なった評価方法で評価します。 |
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相続税の計算を事例をもとに計算してみましょう。相続人は、妻、長男、長女の3人です。長男は、3,000万円の
贈与を受け相続時精算課税を選択し、100万円を納税しています。


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遺産に係る基礎控除額(相続税の課税最低限)は、次の計算によります。
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

親、子、配偶者以外の人が相続等により財産を取得した場合には、相続税額にその税額の2割を加算します。
したがって、兄弟姉妹や孫(養子となった孫も含む)は、相続税額が2割増えます。
ただし、代襲相続人となった孫は加算の対象とはなりません。
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相続人のそれぞれの事情により、税額が控除されます。 |

残された配偶者の生活の保障や遺産形成に貢献した内助の功などを配慮した規定です。配偶者が相続した財産が、配偶者の法定相続分相当額以下の場合には、相続税がかかりません。また、法定相続分を超えても1億6,000万円までは、相続税はかかりません。ただし、遺産分割協議が調っていることが条件です。

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相続人の年齢が20歳未満のときは、成人に達するまで、1年につき6万円が相続税額から控除されます。
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相続人が障害者に該当するときは、70歳に達するまで、1年につき6万円(特別障害者は12万円)が相続税額から控除されます。
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相続開始前3年以内の贈与財産の価額(贈与時の価額)は相続財産の価額に加算し、その贈与により支払った贈与税額は相続税額から控除されます。

相続時精算課税を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)は相続財産の価額に加算し、すでに支払った贈与税額は相続税額から控除されます。なお、控除しきれない贈与税額は、申告することにより還付されます。

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相続税は、相続開始の日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地の税務署に申告して納税します。 なお、正味の遺産額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告書を提出する必要はありません。

申告書を提出する人が2人以上いる場合には、共同で申告書を作成し連署して提出することができます。 相続人の間で連絡が取れないなどの理由によって共 同提出が困難な場合等には、別々に申告書を作成し て提出することになります。

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相続税は金銭で一時に納めるのが原則ですが、困難な場合には、一定の要件のもと申請によって年賦延納や相続で取得した財産で物納することもできます。 平成18年4月1日以降開始した相続の相続税については、物納制度が改正され、物納に充てることのできる財産が法令で明確化され、手続きも迅速化されました。また、延納が継続できなくなった場合、一定の要件のもと物納への変更が可能になりました。 |



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死後の財産の分割を円滑に行うために、遺言書の作成をおすすめします。 遺言の方式には、 @公正証書遺言 A自筆証書遺言 B秘密証書遺言などがあります。 遺言書は、作成後も、撤回や作成し直すこともできます。その場合、日付の最も新しいものが効力を持ちます。

遺留分とは、民法により相続人に保障されている最低限の相続分をいいます。
その割合は、@相続人が親・祖父母のみの場合は被相続人の財産の1/3、A@以外の場合(子のみ・配偶者 のみ・配偶者と親・配偶者と子)は、被相続人の財産の です。なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。 遺言をする場合は、相続人の遺留分について配慮することも必要です。
例)相続人が配偶者と子供3人
の場合の各相続人の
遺留分割合 |
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