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2010年3月26日(金)

使途不明金と使途秘匿金
 
 

(質問)

 取引相手からリベートを要求され、尚且つそのリベート相手を公表できません。

 本来キッパリとお断りするのが正しい選択だとは思いますが、そうもいかないのです。

 どうしたらよいのでしょうか?


(回答)

 当然領収書はもらえないと思いますから、支出した金額は、使途不明金となります。

 科目としては交際費として全額否認することが妥当と思われます。

 しかし現金で先方に渡さず、必ず振り込むようにしてください。

 現金で渡した場合支出の事実が確認できませんから、本当はそんな事実は無かったのではないかと疑われます。

 税務調査の折には、支出の事実(振り込み控え)を明確にしたうえで、事情を説明してください。

 どうしても相手が現金でなければだめだと言う場合は、役員への渡し切り交際費すなわち役員賞与とすることが妥当だと思われます。

 役員への貸付とし、後で役員報酬を上げて一部返済に充てるという方法もありますが、事実が明らかになった場合は、使途秘匿金とされる可能性が残ります。


使途不明金とは

 法人が交際費・機密費・接待費等の名目で、支出した金銭でその使途が明らかでないもの、または法人が使途を明らかにしないものをいいます。


一方、使途秘匿金とは

 使途不明金のように金銭の支出のうち、相当な理由なく、相手方の氏名、名称等を帳簿書類に記載していないものをいいます。

 更に、使途不明金は全額損金に算入されず所得に課税されるのに対して、使途秘匿金は全額損金不算入となるだけでなく、通常の法人税に加え、支出額の40%の追加課税が行われます。

使途不明金は経費処理が前提です。

 これに対して、使途秘匿金は経費処理を前提にしておりません。

 この点から貸付処理は危険です。

 ただ使途秘匿金は本来の趣旨からすれば、「違法ないし不当な支出」に対する追加課税ですから、経費処理だけを持って使途秘匿金とされるわけではありません。