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2009年10月7日(水)

変革に最も必要な事は、抜け出す能力
 
 

変革のバイブルは意識と資源と時間の変化

 成功する変革の方程式は明確で、“成すべきことをきちんとやること”だけと言えます。

 長い間、下請けで“親の言うまま”業務をしていた慣習から抜け出し、“成すべきこと”を抽出し選択することは容易ではありません。

 しかし、経営実践面からすると、その選択よりも難儀しているのは、従来業務から抜け出す能力が不足していることです。


抜け出す能力とは捨てる勇気

 判っているけど、それをやるには“人も金も不足しすぎ”で、成さなければならないことに手が回らない。それは当然です。

 なぜなら、従来の仕事に加えて、慣れない時間のかかる新しい仕事に着手する訳ですから、現場はパニックを起こし、下手をすると不良品続出で、‘それ見たことか’となります。

 変革を成功させるには、“成すべきこと”を選択した後、“業務を捨てる勇気”がなければなりません。


“きちんと捨てる”が成功の法則

 20対80の法則(パレートの原理)は経済の法則に限らず、軍事にまで広く活用されています。

 この法則は、「成果の80%は20%の行動によって達成されている」というものです。

 つまり、経営資源にしろ、社長や社員の業務時間にしろ、「成すべき20%の仕事をしたならば、残りの80%の業務を切り捨てたとしても、失う成果は20%である」と言い換えることができ、人の不足や時間の不足そして資金の不足も解消できると考えられるからです。

 優先すべき新しい変革の課題の業務を優先的に実行したために、従来の業務の一部が消化(あらかじめ捨てる)できなくなったとしても、事業の成果や目的は十分に達成するということです。


捨てる業務も譲り方次第

 消化できなくなった業務による対外的な影響はあらかじめ想定した“捨てる選択”によって必然的にカバーされることになります。

 捨てるということは社内でやらないと言うことですが、“譲る”ことで新しいチャンネルが生まれるかもしれませんし、少なくとも“大して重要な収益構成ではない部分”ですから、身軽になった分、さらに変革を促進できることになります。

 また社内においては、積極的に業務のシフトを進める一環として、上司がやっていた業務の一部を部下に移管し、上司の時間を空かし変革業務に向けるなど具体的な移管スケジュールを想定すると効果が早まります。