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2007年5月18日(金)
偽造カード被害状況
 
 

誰が被害者か?

 偽造カードの被害者は誰なのか、という法律論争があり、警察サイドでは刑法上の被害者は金融機関であるとし、金融機関サイドでは被害者は預金者であるとし、裁判で争われたりしていましたが、「預貯金者保護法」が、平成17年8月3日に成立、翌年2月10日に施行され、偽造のみならず盗難も含め被害者は金融機関であり、預金者はその不正引き出しにつき原則として全額補填を受けられるとされ立法的に決着がつきました。


被害状況の実態概要

 平成19年3月1日、金融庁が、偽造・盗難キャッシュカード等の犯罪による被害発生・補償状況を公表しました。

 偽造キャッシュカードによる預金等払戻し被害発生件数は、14年度の8件から15年度に106件と急増、その後16年度467件 17年度892件と大幅に増加し、18年度は9ヶ月間の中間報告で357件でした。

 平均被害額は、14年度245万円 15年度312万円 16年度227万円 17年度108万円 18年度97万円と16年度以降は減少傾向にあります。

 金融機関による補償状況については、件数ベースで98.1%を補償しており、預貯金者保護法施行後に発生した被害については、全ての事案で補償がされています。

 盗難キャッシュカードによる預金等払戻し被害発生件数は、17年度が6,037件であり、18年度は9ヶ月間に5,235件でした。

 平均被害額は、17年度69万円、18年度45万円でした。

 金融機関による補償状況については、遺失・詐欺等による不正払戻し等は預貯金者保護法の対象外、また、払戻しが預貯金者の家族や同居人等により行われた場合も補償除外ということで、件数ベースで67.3%が補償されています。


補償外は雑損控除可か?

 不正払戻しで補償除外となった被害は所得税の雑損控除の対象になり、税金での配慮がなされます。

 ただし、その中で、詐欺によるものは対象外です。

 被害原因が「災害・盗難・横領」と限定されているためです。類似の被害と言えそうな、振り込め詐欺と同じ扱いです。