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2007年5月8日(火)
ウィーン売買条約に加入へ
 
 

「ウィーン売買条約」、あまり聞き慣れない言葉ですが、これは、国際的な商取引の基本原則を定めた条約です。

 このウィーン売買条約は、国際的な物品売買について統一法をつくろうという関係者の努力の結果誕生したもので、国際連合国際商取引委員会によって起草され、1980年ウィーンで採択され、1988年に発効した国連条約です。

 条文は全101条からなり、契約や損害賠償の基本原則を定めています。    

 正式名称は、「国際物品売買契約に関する国連条約(CISG)」と言います。現在(2007年1月現在)、米ロ中など70ヶ国が締結し、主要国では、英国、日本が未加盟です。

(1)具体的な内容そのメリット

 この条約は、外国企業との契約が不履行となったり、あるいは、損害賠償の請求になった際、一体、どこの国の法律を適用するかなど、紛争解決の標準的なルールを定めたものです。

 例えば、多国間の商取引で紛争になった場合、どこの国の法律で争うのかを契約時に定めていないと、裁判の入口でもめて解決に時間がかかりますが、条約締約国の企業では事前の合意がない場合、自動的に条約が適用されます。

 もっとも、契約当事者が事前合意さえしておけば、個別契約が優先適用されます。

 また、条約に加入すれば、基本条項がありますので膨大な契約書の作成は不要、さらに、当該基本条項により紛争の解決・回避への対応策をあらかじめ立てやすくすることも可能です。

(2)我が国の対応 

 条約に加入すれば、企業の法務担当者らが相手国の法律を調べる必要がなくなるため、また、同条約に基づいた判決・仲裁判断も増加の一途をたどっており、 世界法としての地位をすでに確立していることから、経済界や法曹界から早期加入論がでていました。

 そこで、政府は、年内に法制審議会に条約加入を諮問、2008年の通常国会で承認を得て、国連に加入申請する段取りを描いています。