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2007年5月7日(月)
社長の給与カットしたら賞与
 
 

赤字にしたくないと言う経営者の思い

 ある企業の社長さんのお話です。

 そこの社長さんは、役員報酬を毎月200万円取っておりました。

 しかし今期は思わぬ出費がかさみ、決算2ヶ月前の予想では約300円程度の赤字となる見込みとなりました。

 この会社にとっては、たいした赤字ではないのですが、社長としては銀行の手前もあり、また社長の「企業は利益を出して社会に貢献するのであり赤字の企業などは価値がない」旨の常日頃からの言動もあり、ここは潔く、社長の報酬を残り2ヶ月150万円づつカットしました。

 そして、決算を迎えました。

 このような事例の場合、国税局は経営の著しい悪化とはとれないので「カット後の役員報酬50万円を定期同額給与とし、カット前に払っていた200万円の報酬の内150万円は定期同額給与に該当しないと言うことで否認する」と言う見解です。

 赤字にしたくないと言う社長の思いと裏腹に今度は150万円×10ヶ月分1,500万円の課税所得が出てしまう結果となりました。

平成18年度の税法の改正により、役員報酬の取扱が大きく変わりました。

 従来の役員賞与は認めないと言う考えから、役員報酬そのものを認めないと言う考え方に大きく方向転換いたしました。

 そして例外として認める役員報酬を、以下の3点に絞ったのです。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 利益連動報酬(大企業だけ)

 この改正は、会社法の改正に合わせて、「役員賞与も経費として認める」と言う鳴り物入りで行われましたが、結果とし認められる役員賞与はBの大企業向けのもので、Aの事前確定届出給与などは、どんなに業績が変動しようと、必ず届けた役員報酬や賞与を払わなければ駄目と言う、賞与とは程遠いものです。