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◇新着税務情報◇
  〜株式〜
  ストックオプション権利行使後の株式売却益
 

[相談]

 サラリーマンが、勤務先のストックオプション制度(税制適格要件を満たしている)を利用して得た株式を売却し100万円売却益が出た場合、それ以外の株式の売却損と通算することはできますか?

 

 

[回答]

  質問の場合、ストックオプションにより取得した株式を売却した場合には、通常の株式と同様に他の所得と区分して課税されますが、その他の株式の売却損がある場合には、通算することができます。

理由

1.ストックオプションの課税の概要

 税制適格要件を満たすストックオプションを行使した場合、その行使による経
済的利益については課税されず(租税特別措置法29の2)、行使により取得 した株式を譲渡したときに課税することとされています。

次の事例で説明します。

(1) 1株100円で新株予約権を取得した。
(2) その後株価が1株1700円になったときに権利行使し、株式を取得した。
(3) 株価が1株2000円のときに株式の譲渡した。

税制適格要件を満たすとすると、(2)の権利行使時には株式を取得したことによる経済的利益1,600円(1,700円-100円)が発生しますが、非課税となります。そして、(3)の株式譲渡時に1,900円(2,000-100)の譲渡益に対し所得税が課税されます。この譲渡益の計算上、株式の取得価額は払込価額100円としますので、結局、権利行使時の課税が譲渡時まで繰り延べられたということができます。

税制適格要件とは主に次の条件を満たすことをいいます。

  1. ストックオプション発行会社の取締役又は使用人であること
    (大口株主等を除く)
  2. 新株予約権は付与決議日後2年を経過した日からその付与決議の日後10年を経過する日までに行わなければならないこと
  3. 権利行使価額の年間合計額は1200万円を超えないこと
  4. 1株あたりの権利行使価額が付与契約締結時の価額以上であること
  5. 新株予約権について譲渡制限が付されていることなど


2.株式の譲渡に対する課税の概要

 株式の譲渡に対しては譲渡所得の15%の所得税が課税されます(上場株式等については平成20年12月31日までの譲渡については7%とされています)。また、株式の譲渡損失が生じた場合には、他の株式の譲渡所得から控除することができます(ただし、給与所得、事業所得など他の区分の所得とは通算できません)。