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  〜減価償却〜
  減価償却制度の改正が企業利益を変える
 

減価償却制度の改正が企業利益を変える

 

 

 機械装置・車輌などの減価償却資産は、期間の経過に応じて資産価値が低下していくとされており、事業年度内にいくら資産価値が減価したかを一定の算式により計算するのが減価償却費です。

 決算書に減価償却費をいくら計上するかは本来任意ですが、算定を自社基準で行うことは容易でなく、又、課税の公平面から問題がありますので、一般的には税法の減価償却制度に基づいて計算されています。

 このため税制の変更が企業の利益に直接影響することになるわけですが、下記のように税法の減価償却の制度は、対象となる資産の範囲を含めて、これまでも社会情勢や政策的見地から、その時々により比較的頻繁に制度が変っています。

平成元年度税制改正

  • 減価償却資産の対象範囲が10万円未満から20万円未満に改正


平成10年度税制改正

  • 建物の償却方法を定額法に統一
  • 減価償却資産の対象範囲を20万円未満から10万円未満に改正
  • 初年度1/2簡便償却制度廃止
  • 取得価額10万円以上20万円未満の資産に対し、一括資産3年均等償却制度開始


平成15年度税制改正

  • 中小企業者等において取得価額30万円未満の資産に損金算入の特例制度開始平成18年度税制改正
  • 中小企業者等の取得価額30万円未満の資産の損金算入の特例制度において、事業年度内の取得価額の上限を300万円に改正


平成19年度税制改正

  • 一定の要件の下、取得価額の95%相当の償却可能限度額及び残存価額を廃止し残存簿価1円まで償却可能に改正
  • 定額法の償却率の原則2.5倍に設定された新たな定率法を導入

 このように、毎年同じように経営を行い売上に大きな変動がなくても、税制の減価償却制度の変更により利益が出たり、赤字決算に陥るということがあり得ます。

 赤字になれば銀行の評価も厳しくなることが予想されますので、設備投資が多額な企業はもちろんですが、耐用年数が短い資産、少額の資産を多くお持ちの業種・業態の方は特に影響が大きい場合があります。

 事業計画や決算予測には常に最新の税制による減価償却費を組み込むことが重要です。