新着税務情報に戻る
◇新着税務情報◇
  〜収入〜
  事業所の賃貸に係る収入
 

[相談]

 歯科技工士であるAさんは、個人事業として歯科技工所を平成19年1月に開業しました。Aさんの奥さんに対し、経理担当として専従者給与を月額10万円支払っています。

 開業後、事業主であるAさんが一時的に海外へ研修にでるため、19年5月から1年間事業を休み、その間、機械等の設備を含め歯科技工所の一室を、月額20万円でB社に賃貸することにしました。機械等も使用しないと悪くなるため、使ってもらったほうが、Aさんにとっても助かります。

 開業し、少し事業に係る収入をあげたあと、一時的に事業を休み、事業所を賃貸する場合、Aさんの所得としては、本来の事業に係る事業所得と、歯科技工所一室を賃貸する不動産所得と別に把握すべきでしょうか?

 また、Aさん不在中は、奥さんがB社との賃貸の管理をしています。その際の専従者給与はどのような取扱になるのでしょうか?

 なお、賃貸の契約においては、機械に係る維持費や、水道光熱費はB社負担としています。

 

 

[回答]

 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付による所得で、事業所得又は譲渡所得に該当しないものをいいます。(法26条)

 不動産である施設の貸付に付随して、付属の諸器具、備品その他の動産も一括して貸し付けている場合で、賃貸料を不動産と動産に区分していない場合には、その賃貸料全額を不動産所得として取り扱う事になります。

 したがってご質問の場合には、1月〜4月までの歯科技工所としての収入は事業所得として、5月以降にB社から収受する賃貸料は不動産所得として、区分して申告する事となります。

 また、専従者給与とは、事業主が生計を一にする配偶者等で、専らその事業主の営む「事業」に従事する者に対して支払う給与等をいいます。

 不動産所得の場合の「事業」とは、5棟10室以上の事業的規模で不動産の賃貸を行っているかが問題となります。

 ご質問の場合には、歯科技工所の1室のみの賃貸であるため、5棟10室という事業的規模の要件を満たしません。したがって、5月以降の奥様へ支払われる専従者給与は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入出来ません。

 事業所得は1月〜4月までしか発生しませんので、もちろん事業所得の経費となるのは1月〜4月分の給与のみとなります。