新着税務情報に戻る
◇新着税務情報◇
  〜経費〜
  福利厚生でがん保険を検討
 

[相談]

 法人である当社は、福利厚生の一環として、役員及び従業員のがん保険の加入を検討しています。そのガン保険に係る支払保険料は全額損金です。ただ、全員ではなくやはりガンの危険が高まるある一定の年齢の役員及び従業員に加入してもらいたいと思っています。

 このような基準を設けて加入した場合、給与とみなされる可能性はないでしょうか?

 

 

[回答]

 養老保険に係る保険料や、経済的利益についての取り扱いについては、法人税基本通達9−3−4及び、所得税基本通達36−31により以下の通り規定されています。

                        保険料の処理    経済的利益
(1)死亡保険金等の受取人=契約者  →資産計上      なし
(2)死亡保険金等の受取人
          =使用人等又は遺族  →使用人等の給与 使用人等の給与
(3)死亡保険金の受取人
             =使用人等の遺族 →1/2損金     なし(※)
  満期保険金の受取人=契約者     資産         なし

※(3)については、福利厚生型の保険で原則として全員加入です。

 役員・部課長その他特定の使用人のみを被保険者とする場合には、その者にする給与となります。

  しかし、保険の対象とする役員又は使用人について、保険加入、保険金額等に格差が設けられている場合であっても、それが職務、年齢、勤続年数等に応ずる合理的な基準により普遍的に設けられた格差であると認められるとき(普遍的加入といいます)は、給与とされません。

 この「普遍的加入」について、次の通り、国税不服審判所の裁決事例があります。

 請求人は養老保険に係る被保険について

[1]勤続年数15年以上
[2]年齢40歳以上
[3]主任以上という基準を設けていたことが推認されたが、

課長又は主任に任命されていない、[1][2]を満たすものが3人いるなど、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えれているとは認められず、普遍的加入でないため支払った保険料が特定の者に対する給与に該当するとされたものです。

 ご質問のガン保険ですが、貴社の設けた「年齢」の基準は、年の経過とともに順次、対象となっていくので、特定の人が優遇されていることにはならず、全従業員に利益享受の機会が均一に与えられていますので「普遍的加入」と言えます。そのため給与課税の必要はありません。