新着税務情報に戻る
◇新着税務情報◇
  〜相続〜
  土地や建物の評価方法
 

[相談]

 父の所有する土地や建物などの財産について、もし父が死亡し、私と弟で相続することとなった場合、どのように評価して財産分与をするのでしょうか。

相続税の申告をする場合と財産分与をする場合の評価に違いはあるのでしょうか。また、土地や建物が父が住んでいたものと、賃貸用の不動産物件がありますが、評価に違いはあるのですか?

 

 

[回答]

 財産の相続の仕方については民法900条で定められた法定相続分というものがありますが、相続人同士で協議してそれぞれが取得する財産を決める協議分割(民法906条)によるのが一般的だと思います。

ご質問の場合、兄弟で相続することとなるのであれば、どの財産を誰が相続するのかを決める必要があります。また、遺言書などがある場合は、そちらに従うこととなります。

現在の日本の税制では、相続または遺贈により財産を取得した者は、一定の要件を満たす場合に相続税の申告が必要となります。相続税は、相続の開始した日における被相続人の所有する財産が課税対象となります。つまり、どのように財産を評価するかが重要なポイントとなります。

 基本的に財産の評価は財産評価基本通達に基づいて行います。

土地の評価の仕方は2通りあります。路線価方式と倍率方式です。

 路線価方式とは、評価する土地に接している道路に価格がついており、その価格をもとに評価する方法です。国税庁のホームページにも路線価図としてまとめられています。

倍率方式とは、路線価のついていない道路に面している土地で、場所に応じた倍率を固定資産税評価額に乗じて計算する方法です。建物については、倍率方式で計算することになっています。現在の倍率は1倍ですので、結果的に固定資産評価額そのものとなります。

 ご質問の居住用と賃貸用の不動産を評価する場合、一般的には賃貸用の土地の評価が低くなります。それは、その土地を利用しようとした場合に自分で所有している土地よりも、貸している土地の方が、利用しにくい不動産となるため、一定額(借りている人の権利=借地権)を控除することが認められているためです。具体的には次の計算式となります。(通常通り評価した価格)×(1−借地権割合) 

 そのような賃貸している土地のことを貸宅地と呼びます。(評価基本通達25)土地だけでなく建物も含めて賃貸している場合の土地は貸家建付地と呼ばれまた別の計算となります。

 相続税はそれぞれの計算式に基づいて評価した財産の総額に対して税率をかけて全体の相続税額を計算します。

その計算の際、基礎控除として5,000万円+1,000万円×法定相続人の数までの金額を控除することができます。(相続税法15条1項)たとえば、配偶者と子供2名が相続人であった場合、財産の総額が8,000万円までであれば、相続税はかからないということになります。また相続税の申告期限については相続の開始の日から10ケ月以内となっています。

 詳しい相続税の計算の仕方などはお近くの税務署あるいは税理士にお問い合わせください。