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◇新着税務情報◇
  〜新会社法〜
  通達整備により明確になった「役員給与」の取扱い
 

[相談]

  先般、平成18年度の改正に対応する法人税基本通達が整備され、発表されました。

 そこで、今回の通達整備により、「役員給与」に関して新たにその取扱いが明確になったことは何でしょうか。また、明確になったことにより注意すべき点はありますか?簡素に、かつ、分かりやすく教えてください。

 

 

[回答]

 通達で明確化された役員給与のポイントは次のとおりです。

【通達の追加事項】

平成18年度の改正に対する法人税基本通達が整備され、役員給与について、下記の通達が追加されました。

【定期同額給与】

・定期同額給与の意義(基通9−2−12)
 あらかじめ定められた支給基準に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以 下の期間を単位として規則的に反復又は、継続して支給されるものをいいま
  す 。
  よって、非常勤役員に対し年俸又は事業年度の期間俸を年1回又は年2回
  所定の時期に支給するようなものは、定期同額給与には該当せず、事前確
  定届出給与として取扱われます。

・経営の状況の著しい悪化に類する理由の意義(基通9−2−13)
  経営状況が著しく悪化したことなど、やむを得ず役員給与を減額せざるを得
  ない事情があることをいいます。よって、法人の一時的な資金繰りの都合や
  単に業績目標値に達しなかったことなどは、これに含まれません。


【事前確定届出給与】

・事前確定届出給与の意義(基通9−2−14)
  所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給される給与のこと
  をいいます。
  よって、届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合には、その支給額の
  全額が損金不算入となります。

・確定額の意義(基通9−2−15)
  この「確定額」には、現物資産により支給するもの、支給額の上限のみを定
  めたもの及び一定の条件を付すことにより支給額が変動するようなものは含
  まれません。

・職務の執行を開始する日の意義(基通9−2−16)
  その役員がいつから就任するかなど、個々の事情によりますが、定時株主
  総会において役員に選任されたその日に就任した場合や定時株主総会の
  開催日に役員である場合(同日に退任する場合を除く。)は、当該定時株主
  総会の開催日となります。

【損金の額に算入される利益連動給与】

・業務執行役員の意義(基通9−2−17)
  法人の業務を執行する役員のことをいいます。しかし、法人の役員であって
  も、取締役会設置会社における代表取締役以外の取締役のうち業務を執行
  する取締役として選定されていない者、社外取締役、監査役及び会計参与
  は含まれません。

・確定額を限度としている算定方法の意義(基通9−2−18)
  「確定額を限度としている算定方法」とは、その支給額の上限が具体的な金
  額をもって定められていることをいます。たとえば、「利益の○○%を限度とし
  て支給する」といった定め方はこれに該当しません。

・算定方法の内容の開示(基通9−2−19)
  算定方法の内容の開示とは、業務執行役員ごとに以下のことを開示しなけ
  ればなりません。

  (1)その利益連動給与の算定の基礎となる利益に関する指標
   (2)支給の限度額としている確定額
   (3)客観的な算定方法の内容

    算定方法の内容の開示について、個々の業務執行役員ごとに算定方法    の内容が明らかになるものであれば、同様の算定方法を採る利益連動    給与について包括的に開示しても差し支えありません。

・利益に関する指標の数値が確定した時期(基通9−2−20)
  「利益に関する指標の数値が確定した時期」とは、法人が会社法第439条
  第2項≪計算書類等の定時株主総会への提出等≫の規定により定時株主
  総会において計算書類の承認を受けたときをいいます。