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◇新着税務情報◇
  〜税制改正〜
  棚卸資産評価の改正案
 

平成19年度税制改正の大綱が発表されました。

棚卸資産評価に関する改正案の内容を教えてください。

また、なぜこのような改正がされたのですか?

 

 

平成19年度税制改正の大綱では、棚卸資産の評価について以下のような改正案が示されました。

棚卸資産の評価

  1. 低価法を適用する場合における評価額を事業年度末における価額(現行再調達原価)とする。
  2. トレーディング目的の棚卸資産の場合には、時価により評価することとする。

これらの改正案は、平成18年7月5日に企業会計基準委員会より公表された、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(以下「基準」)の内容に準拠したものとなっていると考えられます。

今回の基準には、棚卸資産の低価法の強制適用などが規定されました。「基準」によると、棚卸資産について、次のように規定されています。

 棚卸資産は、製品、商品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産のほか、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品等も含まれる。

 また、「売却」には通常の販売のほか、活発な市場が存在することを前提として、棚卸資産の保有者が単に市場価格の変動により利益を得ることを目的とするトレーディングも含まれる。
  (トレーディング目的の棚卸資産には、金地金等の現物商品が想定されています)

 期末評価について「基準」では、時価を公正な評価額としています。時価は、売価から見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除した正味売却価額で求めます。

 正味売却価額によることが困難な場合、処分見込価額まで切り下げる方法や、条件によって再調達原価によることもできるとされています。

 現行の税制では、低価法を適用する場合は再調達原価によっていると規定されているため(法法令28条1項2号)、「基準」と評価方法が異なってくることとなります。

 今回の税制改正の大綱では、この点の整合性をとる改正案となっていると考えられます。

 トレーディング目的で保有される棚卸資産の期末評価については、「基準」によると、市場価額に基づく価額を貸借対照表価額として、その評価差額は当期の損益とするとされています。

 一方では現行の税制ではトレーディング目的で保有される棚卸資産をどのように処理するか明確に区分されていませんでした。

 今回の大綱ではこの部分に言及し整合性をとるものとなっています。ただし棚卸資産の評価損(法法33条2項)については、「基準」では同質的に取り扱っているものの、大綱では触れられておらず現行どおりの処理が継続されるものと考えられます。