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◇新着税務情報◇
 〜税制改正〜
 物納ができる取引相場のない株式
 

 平成18年度税制改正で、物納ができる取引相場のない株式の要件が緩和されたそうですが、取引相場のない株式であれば何でも物納申請できるのでしょうか?

たとえば、当社は会社法の非公開会社(すべての株式について譲渡制限あり)に該当します。当社の株式も物納申請可能でしょうか?もし、可能でない場合には、物納申請可能にする方法を教えてください。また、物納申請が可能となった場合のデメリットがありましたら教えてください。


 

 18年度税制改正において取引相場のない株式が全て物納できる様になった訳ではありません。

 従前は、物納が可能な取引相場のない株式は相続税法基本通達42-2において以下の要件でした。

譲渡に関して定款に制限のない株式であり、かつ次の1又は2に該当する株式

  1. 株式発行会社について、直近2期における総資本経常利益率、売上高経常利益率及び総資本回転率のいずれか2つの指標が、法人企業統計調査 指定統計第110号における同業種の直近2か年度の平均比率を超えていること。
    発行会社の直近2期における当期利益(税引後)がマイナスとなっていないこと。
    発行会社の直近2期において配当可能利益(当期未処分利益及びその他資本剰余金)があることのいずれの要件も満たし、売払いが確実に見込まれるなど経営内容等から収納を適当と認める場合。

  2. 物納後当該株式を買い受ける希望を有する者がいることが確認できる場合。

 
  18年度税制改正において、定款に譲渡制限がある株式は物納不適格財産として明確に例示された一方、譲渡制限株式に該当しなければ原則的に物納が可能となりました。

 ご質問の場合ですと、すべての株式について譲渡制限がありますので改正後においても物納はできない事となります。

 譲渡制限のある株式を物納する為には、譲渡制限のない株式に変更する必要があり、これは株主総会の特別決議により定款を変更することで対応することができます。

 また、定款の変更により譲渡制限のない株式に変更すると、会社法上公開会社になります。 公開会社になれば、監査役が会計監査だけでなく業務監査も行う必要がでてきたり、計算書類の注記の範囲が上場会社に近い水準まで増える等、事務負担が増大するおそれがあり、これが大きなデメリットとなる場合があります。

 また、株式の買占めにより経営権が侵害される恐れがあること等が挙げられます。