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 〜起業〜
 LLP制度と税の取扱い
 

戸籍上は、

「昭和16年11月24日付許可によりその名○○を◎◎と変更届出同月25日受付」となっています。裁判所の許可日は11月24日で、届出の日は11月25日です。氏名変更による所有権登記名義人氏名変更の登記原因の年月日は、11月24日になるのでしょうか。25日になるのでしょうか。

 

平成17年5月6日に「有限責任事業組合契約に関する法律」が公布され、これにより日本版LLPが導入されることになりました。

 日本版LLPの特徴は大きく分けて、出資者の有限責任・内部自治原則・構成員課税の3つになります。

 記載順に特徴を述べていきますと、出資者である組合員は、以前から存在していた民法上の任意組合とは違い、LLPの債務について出資額の範囲内でしか責任を負う必要がありません。

また、組合員全員が事業に関与するため、株式会社のような取締役会などの経営者を監視する機関の設置が強制されず、運営方法を自由に決めることができ、利益・損失の配分も出資額の比率に拘束されずに決定することができます。


 この2つの特徴により事業体として使い勝手が非常に良くなるため、今まで 実現できなかった新たな事業形態を創出することが可能となり、既に制度が導 入されている欧米では幅広く利用されています。

 ここからは3つ目の特徴を中心に課税制度について述べたいと思います。

 LLPは法人格がないため法人税が課されず、組合員の所得として課税されます。
これが構成員課税(パススルー課税)です。
従って、組合員には利益だけでなく損失もそのまま配分されることになります。

 ただし、17年度の税制改正で組合税制が見直され、損失については一定の制限が課されました。組合員が出資した額を超える損失額は税務上の必要経費及び損金の額に算入されませんので、超過部分については個人組合員については切り捨て、法人組合員については翌年以降に持ち越されることになります。(措法67の13)

 次に出資時の譲渡益課税についてです。

 LLPに出資する際には現金か土地等による現物出資しか認められておらず(LLP法11条)、現物出資する場合に時価評価額が簿価価額を上回っていると出資者には譲渡益が発生することになります。現物出資をする場合はこの点に注意が必要です。

  このように日本版LLPは税制面での規制はあるものの、上記の3つの特徴を併せ持つため、新規事業の立ち上げや資金はないがスキル等を持った個人・中小企業などには適していると思われます。

 まだスタートしたばかりの制度であるため、これから施行される新会社法との動きと合わせて、今後の動向に注意してください。