CASESTUDY : 値引きの決定権は誰にある?
企業の利益は営業マンが稼いでくるわけではありません。そこには仕入担当者もいるでしょうし、物流担当者もいます。請求書を発行する総務経理だっています。会社全体が利益獲得のため、様々な業務を分担して行っているわけです。売上値引きはそうして稼いだ利益を減らしてしまう、言わば招かれざる客です。ないに超したことはありません。しかし、営業政策上、必要な場合もあるでしょうから一概に悪者扱いは出来ませんが・・・。
この売上値引きはどのように決定されていますか?営業マンの判断で決まっていませんか?であるとすれば、様々な問題がでてきます。
まず、安易な値引きが増えること。値引きをすれば売れる。売れないより売れた方が良いからドンドン値引きを行ってしまう・・・。そうした体質に陥ることは必至です。もっと恐いのはそれを悪用されることです。値引きが営業担当者レベルで出来てしまうと、こんな恐いことが・・・。
営業マンは顧客のところにいって通常に売り上げます。翌月の集金時に小切手なり現金なりでお金を頂きます。例えば集金額を100万としましょう。営業マンはこの100万円を会社には持ち帰らず、10万を懐に入れてしまったら・・・。会社には10万円の値引きです、と報告すれば良い・・・。領収書は顧客分に100万円と記載し、控えは90万・10万値引きとすれば分からないでしょう。カーボンであれば鉛筆で複写させた後、消しゴムで消せば分からない・・・。領収書を市販のものを使っているならば、こうした手間も必要なく不正ができますし、自社領収書であっても2冊持ち出し可能であれば、簡単に不正ができる・・・。また、小切手は銀行に持っていけば換金できますから、現金入金と報告すれば分からない・・・。
ここでのチェックポイントは3つあります。
まず、営業担当者に値引き決定権を与えないこと。値引きの際には上司の決裁を仰ぐなど、社内報告制度の確立が必要です。また、ここでは事後値引きは認めない等のルールも必要でしょう。
2つめは領収書の管理です。領収書は営業マンが発行できないようにする、領収書には連番をふる、自社専用の領収書を使う、領収書控えに顧客のサインをもらう、など領収書管理を徹底させることです。
3つめは、集金管理です。顧客に振り込みをお願いする、定期的に売掛金残高を顧客の買掛金帳簿残と照合してみる、などが必要でしょう。