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 〜税制改正〜
 平成15年度税制改正
 

平成15年度税制改正のポイントは?

 

平成15年度税制改正

毎年改正される税制ですが、今回も中小企業の方々に関係のある改正を取り上げます。2003年度税制改正では、デフレ不況で税収不足に苦しむ財政であっても国民の現在と将来不安を最小限におさえ、安心できる公共サービスを提供できること、将来の財政の健全化を維持しつつ、新たな飛躍に応え得る財政態勢を目指すことに重視した改正です。

当面の課題はまず、デフレ不況の脱却。
このため市場活性化を目指した金融・証券税制の思い切った軽減・簡素化、土地の有効利用を促進する登録免許税・不動産取得税などの大幅な見直し、相続税と贈与税の一体化と軽減による貯蓄資産の流動化などの措置を講じています。



平成15年税制改正その1(企業編)


設備投資の計画をお持ちの企業の方はこの投資減税を利用したいものです。



設備投資減税

[1]IT投資促進税制の創設

平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定のIT関連設備等の取得等をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、取得価額の10%相当額の税額控除と取得価額の50%相当額の特別償却との選択適用を認める。
また、資本金3億円以下の法人については、一定のリース資産の賃借をして、これを国内にある事業の用に供した場合には、リース費用の総額の60%相当額について10%相当額の税額控除を認める。ただし、当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額については1年間の繰越を認める。

[2]開発研究用設備の特別償却制度の創設

平成15年1月1日から平成18年3月31日までの期間内に、一定の開発研究用設備の取得等をして、これを国内にある開発研究の用に供した場合には、その取得価額の50%相当額の特別償却を認める。

上記[1]及び[2]の措置は、平成15年4月1日以後に終了する事業年度について適用する。なお、同日前に終了する事業年度において平成15年1月1日から平成15年3月31日までの間に対象設備等の取得等をした場合には、平成15年4月1日を含む事業年度において、税額控除相当額または特別償却相当額の繰越控除または償却を認める。

 

上記IT投資促進税制の対象となるIT関連設備等とは次の[1]又は[2]の規模以上のものとする。

  [1] 次表のからの設備でIT投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表のからまでの設備の取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、140万円以上)となる場合の当該設備
  [2] 次表ののソフトウェアで投資促進税制の適用を受けようとする事業年度において取得等をした表ののソフトウェアの取得価額の合計額が600万円以上(資本金3億円以下の法人については、70万円以上)となる場合の当該ソフトウェア
  リース税額控除の適用対象となるリース資産とは、次表の設備等で、そのリース費用の総額がそのリース試算の種類に応じ、次の[1]又は[2]の金額以上のものとする。なお適用対象となるリース資産は、リース契約期間が4年以上で、且つ、リース資産の耐用年数を越えないものであること等の要件を満たすものに限る。
  [1] 次表のからまでの資産でリース税額控除の適用を受けようとする事業年度において新たにリースをした次表のからまでの設備のリース費用の総額の合計額が、200万円以上となる場合の当該設備
  [2] 次表ののソフトウェアリース税額控除の適用を受けようとする事業年度において新たにリースをした次表ののソフトウェアのリース費用の合計額が100万円以上となる場合の当該ソフトウェア
 
    表1
a 電子計算機
計数型の電子計算機(主記憶装置にプログラムを任意に設定できる機構を有するものに限る。)のうち、処理語長が32ビット以上で、かつ、設置時における記憶容量(検査用ビットを除く。)が256メガバイト(サーバー用のものにあっては、128メガバイト)以上の主記装置を有するものに限るものとし、これと同時に設置する付属の入出力装置(入力用キーボード、ディジタイザー、タブレット、光学式読取装置、音声入力装置、表示装置、プリンター又はプロッターに限る。)、補助記憶装置、伝送用装置(無線用のものを含む。)、変復調装置又は電源装置を含む。
b デジタル複写機
専用電子計算機(専ら器具及び備品の動作の制御又はデータ処理を行う電子計算機で、物理的変換を行わない限り他の用途に使用できないものをいう。)により発信される制御指令信号に基づき画像情報をデジタル信号に変換し、色の濃度補正、縦横独立変倍又は画像記憶を行う機構を有するもの及び当該専用電子計算機を同時に設置する場合のこれらのものに限るものとし、これらと同時に設置する専用の自動原稿送り装置、排紙分類装置、給紙装置、プリンター又はファクシミリを含む。
c ファクシミリ
送受信データを蓄積する機構及び普通紙に受信データを印刷する機構を有するもののうち、最大伝送速度が毎秒28.8キロビット以上のものに限るものとし、これと同時に設置する専用の変復調装置、回線制御装置又は回線接続装置を含む。
d ICカード利用設備
ICカードとの間における情報の交換並びに当該情報の蓄積及び加工を行うもので、これと同時に設置する専用のICカードリーダーライタ、入力用キーボード、タブレット、表示装置、プリンター又はプロッターを含む。
e デジタル放送受信設備
デジタル信号により送信される放送を受信しその信号を処理することが可能なもので、電気通信回線に接続し電気通信信号を発信する機能、瞬間的影像に併せデータの処理を行う機能及び高精細度な画像の処理を行う機能を有するものに限る。
f インターネット電話設備
専ら音声信号の変換又は交換を行う電気通信設備のうちインターネットプロトコルに対応するためのもの及びこれらの呼制御を行う制御装置に限るものとしこれらと同時に設置する専用の末端装置又は変復調装置を含む。
g ルーター・スイッチ
インターネットを構成するルーター(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を制御する機能を有する専用の電気通信設備をいう。)又はスイッチ(通信プロトコルに基づき、電気通信信号を伝送し、その経路を選択する機能を有する専用の電気通信設備をいう。)のうち、毎秒45メガビット以上の伝送速度に対応するものに限るものとし、これらと同時に設置する集線装置を含む。
h デジタル回線接続装置
光伝送の方式における電気信号と光信号との変換の機能を有する装置、デジタル加入者回線伝送方式における音響と符号とを周波数により分離する機能を有する装置、総合デジタル通信網に末端装置を接続する機能を有する加入者回線終端装置及び総合デジタル通信網にアナログ端末を接続する機能を有する信号変換装置に限る。
i ソフトウエア
電子計算機に対する指令であって一の結果を得ることができるように組み合わされたもの及びこれに関連するシステム仕様書その他の書類に限るものとし、複写して販売するための原本及び開発研究(新たな製品若しくは新たな技術の発明又は現に企業化されている技術の著しい改善を目的として特別に行われる試験研究をいう。)の用に供されるものを除く。


  開発研究用設備の特別償却制度
開発研究用設備の特別償却製尾の適用対象となる開発研究用設備は、開発研究に専用される機械装置及び器具備品の内減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表八の機械装置及び器具備品に該当するもので、その取得価額が280万円以上のものとする。

 

  平成15年税制改正その2(個人編)
  配偶者特別控除のうち控除対象配偶者(合計所得金額38万円以下の配偶者)について配偶者控除に上乗せして適用される部分の控除を廃止する。
 上記の改正は、平成16年分の所得税及び平成17年度分以後の個人住民税について適用する。

平成15年税制改正その3(消費税編)
消費税に対する信頼性、制度の透明性を向上させる観点から、次の措置を講ずる。

  [1] 中小事業者に対する特例措置事業者免税点制度の適用上限を1,000万円(現行3,000万円)に引き下げる。
  [2] 簡易課税制度の適用上限を5,000万円(現行2億円)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用する。
 直前の課税期間の年税額が4,800万円(地方消費税込み6,000万円)を越える事業者は、中間申告納付(原則として、前年確定税額の12分の1)を毎月(現行3ヵ月ごと)を行わなければならないこととする。なお、この改正に合わせて、新たに1ヶ月ごとの課税期間の特例(現行3ヵ月ごと)を設けることとする。
(注)上記の改正は、平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用する。
  [3] 消費税法において、事業者がその相手方である消費者に対して商品販売、役務の提供等の取引を行うに際し、その取引価格を表示する場合には、その商品や役務に係る消費税等の額を含めた総額を明らかにすることを義務付けることとし、平成16年4月1日から適用する。

平成15年税制改正その4(相続・贈与税編)
以下のとおり相続時精算課税制度を創設する。

[概要]
生前贈与については、受贈者の選択により、贈与時に贈与財産に対する贈与税(「贈与税」)を支払い、その後の相続等にその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に計算した相続税額から、すでに支払った「贈与税」を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることが出来ることとする。

[適用対象者]
本制度の適用や衣装となる贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)とする。

[適用手続]
本制度の選択を行おうとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に所轄税務署長に対してその旨の届出を贈与税の申告書に添付することにより行うものとする。この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択できるものとし、最初の贈与の届出により相続時まで本制度は継続して適用される。

[適用対象財産]
贈与財産の種類、金額、贈与回数には、制限を設けない。

[税額の計算・贈与税額の計算]
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの贈与財産について贈与字に申告を行い、他の贈与財産と区別して、その贈与者からの贈与財産の価額の合計額を基に計算した「贈与税」を支払うものとする。その「贈与税」の額は、上記の贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる2,500万円(非課税枠)を控除した語の金額に、一律20%の税率を乗じて算出する。

[相続税額の計算]
本制度の選択をした受贈者(子)は、本制度に係る贈与者(親)からの相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して現行と同様の課税方式(法定相続分による遺産取得課税方式)により計算した相続税額から、すでに支払った「贈与税」相当額を控除する。その際、相続税額から控除しきれない場合には、「贈与税」相当額に還付を受けることが出来る。なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価とする。

相続税の税率構造の改正

 
(現  行)
800万円以下の金額 10%
1,600万円以下の金額 15%
3,000万円以下の金額 20%
5,000万円以下の金額 25%
1億円以下の金額 30%
2億円以下の金額 40%
4億円以下の金額 50%
20億円以下の金額 60%
20億円超以下の金額 70%
(改正後)
1,000万円以下の金額 10%
3,000万円以下の金額 15%
5,000万円以下の金額 20%
1億円以下の金額 30%
3億円以下の金額 40%
3億円超以下の金額 50%

 

 

贈与税の税率構造の改正
相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産にかかる贈与税の税率構造について、次のように最高税率を引き下げるとともに、税率区運を拡大する。

(現  行)
150万円以下の金額 10%
200万円以下の金額 15%
250万円以下の金額 20%
350万円以下の金額 25%
450万円以下の金額 30%
600万円円以下の金額 35%
800万円以下の金額 40%
1,000万円以下の金額 45%
1,500万円以下の金額 50%
2,500万円以下の金額 55%
4,000万円以下の金額 60%
1億円以下の金額 65
1億円超以下の金額 70%
(改正後)
1,000万円以下の金額 10%
3,000万円以下の金額 15%
5,000万円以下の金額 20%
1億円以下の金額 30%
3億円以下の金額 40%
3億円超以下の金額 50%

 

注)上記1から3までの改正は、平成15年1月1日以後の相続又は贈与から適用する。

住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度の特例の創設

  1. 相続時精算課税制度について、自己の居住の用に供する一定の家屋を取得する資金または自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築のための資金の贈与を受ける場合に限り、65歳未満の親からの贈与についても適用することとし、2,500万円の非課税枠に1,000万円を上乗せし、非課税枠を3,500万円とする。
  2. 「一定の家屋」とは、新築または築後経過年数が20年以内(一定の耐火建築物である場合には、25年以内)の家屋で床面積が50平方メートル以上であることその他の要件を満たすものをいう。
  3. 一定の増改築」とは、増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替等であって、当該増改築の工事費用が100万円以上であること、当該増改築後の床面積が50平方メートル以上であることその他の要件を満たすものをいう。
  4. この特例は、平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に贈与により取得した住宅取得資金等について適用する。
  5. 現行の住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例(5分5乗方式)については、平成17年12月31日まで、経過措置として存置する。

その他

  1. 相続税の申告に際し必要となる他の共同相続人の贈与税の申告内容について、必要最小限の情報を相続人の請求により税務署長が開示する制度を創設する。
  2. 相続税額の2割加算制度について、加算の対象となるものに被相続人の養子となった当該相続人の孫(代襲相続人である者を除く)を追加する。
  3. 贈与税について、更正等の期間制限(現行3年または5年)を6年に延長する。
  4. 生命保険に関する権利の法定評価の規定について、所定の経過措置を講じたうえ廃止し、原則として個々の契約に係る解約返戻金の額を用いて評価することとする。
  5. 税務署員の守秘義務違反にかかる罰則を2年以下の懲役または30万円以下の罰金(現行2年以下の懲役または3万円以下の罰金)とする。
  6. 出国時における申告書の提出期限の延長、税務職員の検査対象規定の整備、相次相続控除の規定の整備、財産の所在地等に関する規定の明確化その他の所定の規定の整備を行う。
  7. 特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例については、相続時精算課税制度に係る贈与財産を適用対象に加えるとともに、所定の規定の整備を行う。
  8. 7.の他、相続時精算課税制度の導入に伴い、租税特別措置法その他の規定について、所要の規定の整備を行う。