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 〜相続〜
   痴呆症状のある者の保険解約
 

痴呆症状のある者の保険解約

 

痴呆症状のある者の保険解約

------------------------------------------------------------ [相談]  

平成14年10月に相続対策目的で養老保険に加入、平成15年の税 制改正により税のメリットなくなったので、保険契約を解約するこ とにしましたが、契約者に痴呆の症状がでてきており、判断能力な く署名できない状況になりました。税制改正より18年に解約する旨 を保険代理店にはしてありましたが、手続きを取る段階になって、 本人の判断能力がないことにより解約を拒否されました。正式に後 見人をたてなければ、法定相続人全員の同意があっても解約はでき ないという保険会社の説明です。

 契約当初に相続対策目的で加入しており、効果がなくなった場合の解約についての説明が無かったことによる契約の無効を主張したいのですが、契約者以外の者が裁判で契約の無効を訴えることはできるのでしょうか。

------------------------------------------------------------ [回答]

 契約者以外の者が裁判で契約の無効を訴えることはできるのかと いうことですが、無理ではないかと思います。

 無効を訴えるにしても、契約者の成年後見人を選任してもらい、 後見人が契約者に代わって申し立てることになるのではないでしょ うか。

 公序良俗、強行法規違反、意思無能力など、絶対的無効ならばだ れでも主張可能ですが、今回の場合は動機の錯誤を理由とするもの ですから、いわゆる相対的無効として表意者のみ無効主張すること が可能です。  契約者のご家族は、後見人を立てるのが嫌なのでしょうか?確か に後見人を立てると、管理をしっかりしなければならず、大変だと は思います。しかし、後見人選任にかかる費用と、裁判費用では、 後見人選任にかかる費用の方が安いのではないかと思います。

 なお、選任された後見人が養老保険の契約を解約する場合は、事 前に裁判所に相談した方が良いでしょう。後見人は、定期的に成年 被後見人の財産状況を裁判所に報告する必要があります。後見人が 成年被後見人の不利益になるような処分行為をすることは望ましく ありませんし、場合によっては、後見人が民法上の責任(民法117 条など)を負う可能性もあります。

裁判所の指示を仰いだ方が安心でしょう。