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 〜新会社法〜
 会社法/機関設計/株主総会中心でない設計(その2)
 

会社法/機関設計/株主総会中心でない設計(その2)

 

「株主総会中心でない設計(その1)」では、「取締役会設置株式会社」のことを、お話ししました。
  ところで、取締役会設置会社、つまり「頭脳の役割を分割」している会社であれば、監査役の設置が義務付けられます。
それは、頭脳が専門分化されたので、経営チェックも専門的にさせようというものです。しかし、会社法では、取締役会を設置していなくても経営チェックの専門家である監査役を置くことをみとめています。これを置く会社を監査役設置会社といいます。

<株主総会中心でない設計(その2)>

  1. 監査役は、取締役の業務執行を監査し、結果を株主総会に報告したりする機関です。この監査役は、株主から信認を受けて、取締役の業務全般を監査します。業務の適法・適正さ、会計の正しさなど、全般にわたります。

  2. 監査役を設置することで、株主は、基本的に監査役を通じて、会社の根本的な意思決定に必要な情報を手に入れることになります。決算や配当、取締役の選任・解任、会社の合併など根本的な意思決定が適切にできるかどうかは、ある意味監査役の仕事振りにかかわるといえるでしょう。大変責任のある仕事です。

  3. 他方、会社にとって、監査役を設置することの意味は、2.の裏返しといえます。つまり、株主は、株主総会以外では、監査役を通じて会社の経営をチェックすることができるだけになります。こうしておくことで、株主の数が多いときなどに起こりがちな、たとえば過剰な株主対応を迫られるリスクは減少しますね。

  4. もっとも、非公開会社(もう理解されていると思いますが念のため、「株式の全部に譲渡制限が設定されている閉鎖的株式会社」のことです)では、監査役の業務を会計の正しさの監査のみに限定できます(経営をチェックするプロがそうそういるものでもないですからね)。ただ、そうすると、会社には、監査役がいないものと見做されて、株主に強力な直接の経営監視権が発生することになります。