<機関設計のイロハ>
機関といいますのは、肉体のない「会社」の頭と手足になるものです。頭は、株主総会、手足は、役員ということです。
大ざっばにいえば(1)株主総会中心の設計と(2)そうでない設計が基本となります。 以下、(1)と(2)をくわしく見ていきましょう。
(1)株主総会中心の設計
- 小学校でならった「国家機関」を思い起こしてください。三権分立です。国会がルールをきめ、行政が実行し、司法が裁く。
- 今まで、これと似た関係を株式会社に取り入れてきました。
株主(総会)がルールを決めて、取締役が経営して、監査役が適法かどうかチェックする。
しかし、これはあくまで理想です。乱暴にいえば、ありあまるエリートがいてはじめて成り立つような仕組みともいえます。現実の多くの株式会社ではそうはいきません。
他方、会社の所有者は株主です。株主の意向を反映させるのが一番大事です。
- そこで、株主総会と取締役(社長)がいるだけというシンプルな機関設計が実現しました。ここでは、株主と社長が同一人物である会社が想定されいるといえます。頭(株主総会)と手足(取締役)が完全一致しているのです。
(2)株主総会中心でない設計(その1)
- 株主と社長が同一人物であれば、(1)がベストです。しかし、現実にはそうそう単純ではありません。多くの株式会社では、株主は複数であろうかと思います。
- そこで、会社としては、頭と会社が完全に一致しているわけではないような場合、頭の役割をすこし分割することが望ましいと考えます。
- そうして生まれたのが、取締役「会」です。取締役個々人に任せるのは独走リスクが非常に高い。
しかし、取締役全員に会議をさせて多数決で決めさせれば、すこしはブレーキがかかるのではないか、ということです。取締役会設置をすると、解散・合併などの究極の判断をのぞき、業務決定のほとんどすべてが取締役だけで決定できることになります。