選んでおいた方が良いでしょう。
遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実現する人のことを言います。
遺言
執行者は、遺言書に書かれている内容や趣旨に沿って、相続人全体の代理人と
して財産を管理し、名義変更などの各種手続を行います(民法1015条)。
遺言執行者を指定しない場合、「相続させる」旨の遺言であれば、不動産については単独で所有権移転登記申請を行なうことができますが(最判平7.1.24判時1523.81)、相続人ではない長男の妻に遺贈する建物については、長男の妻が単独で所有権移転登記申請をすることができません。
この場合、相続人全員が登記上の義務者となり、被相続人から長男の妻への名義変更手続を行うことになります。
ですから、相続人全員の協力が得られないと、遺言の内容を実現し、建物の名義変更をすることが難しくなります。
また、同様に、金融資産を解約・換金する際にも、相続人全員の協力が得られないと速やかに遺言の内容を実現することが困難です。
遺言作成時に遺言執行者を指定し、遺言執行者に解約・換金・分配等の手続を任せる旨を定めておけば、長男の妻への建物の名義変更や、金融資産の解約・換金・分配手続は、相続人に代わって遺言執行者が行うことになります。
相続人全員が遺言の内容に十分納得していない場合や、相続人に時間的・距離的な制約がある場合には、遺言内容の実現に支障をきたすことが考えられますので、遺言執行者を指定し、遺言執行者において解約・換金・分配等各種手続を進めてもらった方が良いでしょう。
遺言執行者は、遺言で指定する方法の他に、相続発生後相続人から家庭裁判所に申立をして選任してもらう方法もあります。
遺言書はあるが、相続人が協力してくれず、遺言の内容を実現できないという場合には、裁判所に選任の申立をするのが良いでしょう。
なお、遺言執行者には、未成年者と破産者以外であれば誰でもなることができますので、相続人や親族がなっても構いませんが、揉める可能性があるのであれば、公正な第三者である弁護士・司法書士等の専門家に依頼するのが無難だと思われます(民法1009条)。