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 〜相続〜
 養子縁組した際の養子の氏、養子の子の氏
 

養子縁組した際、養子の氏、養子の配偶者の氏、養子の子の氏はどのようにかわるのでしょうか

 

〜養子縁組した際の養子の氏、養子の子の氏〜


Q.こんにちは、山田太郎です。
  家族の理解もあり、身寄りのない伯母の河野スエを引き取ることにしましです。伯母
  がいうには、養子縁組をしておけば、かなり相続のとき、税金が安くなるとのこと。
  そこで、質問です。養子縁組すると、私の名前は河野太郎になるのでしょうか。
  また、妻や息子の氏も、河野に変わってしまうのでしょうか。

(縁組前の関係図)

                 ________           
                |   |
  花田幸子==花田一彦 山田隆子===山田孝 河野スエ==故河野正夫
  |           |   
 山田花子========山田太郎         |       山田イチロー

A. 太郎さんは河野太郎になり、花子さんは河野花子になりますが、イチローさ
   んは山田イチローのままです。イチローさんも河野姓にしたいときは、別途
   届出が必要です。)

〜解説〜

養子の氏(太郎さんの氏)
 養子縁組をすると、養子は養親の戸籍に入り、養親の氏を称することになります(戸籍法§18、民法§810)。このとき、養子が既に婚姻している場合は、その夫婦について新戸籍を編製することになりますが(戸籍法§20)、養子が婚姻によって相手方の氏に改めている場合には、引き続き縁組前の氏を名乗ることになり(民法§810但書)、新戸籍は編製されません。

ご質問の場合、山田太郎・花子夫妻は、婚姻の際夫の氏を選択しており、太郎さんは婚姻によって氏を改めていませんので、河野スエさんと養子縁組することにより、河野太郎となり、河野太郎を筆頭者とする新戸籍を編製することになります。養子の配偶者の氏(花子さんの氏)夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称します(民法§750)。この規定は、婚姻時のみ有効となるわけではなく、婚姻後もひき続き有効となります。よって、婚姻の際夫の氏を選択した妻は、婚姻中に夫の氏がかわることがあれば、それにともない氏がかわることになります(民法§750)。ご質問の場合、花子さんも河野太郎を筆頭者とする新戸籍に入りますので、河野花子となります。



養子の子の氏(イチローさんの氏)
嫡出である子は、父母の氏を称します(民法§790)。しかし、父母の氏の変更にともない、子の氏が自動的にかわるという規定はありません。父母が養子縁組にともない新戸籍を編製した場合、父母は旧戸籍から除籍されますが、子はそのまま旧戸籍に残ることになり、氏もかわりません。氏を変えたい場合は、入籍届を市町村長に届け出る(民法§791第2項、戸籍法§98)必要があります。入籍届を届け出ることにより、両親の戸籍に入籍し、両親の氏を名乗ることができます。

 ご質問の場合、イチローさんは、父親の養子縁組に伴い自動的に父母の戸籍へ入籍することはなく、河野イチローとはなりません。山田イチローのままです。
しかし、イチローさんの氏を両親と同じ河野にかえたいと望む場合には、入籍届を市町村長に届け出ることにより、両親の戸籍に入籍し、河野イチローとなることができます。