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 一人会社の節税封じQ&A 第4回
 同族会社の主宰役員の給与所得控除額の損金不算入 パターン4
 

「同族会社の主宰役員の給与所得控除額の損金不算入」で、適用対象になったらどうしたらいいでしょうか?

 

下記の判定フローチャートで、”NO”を選べるように会社の体制を変えればいいのです。

つまり、同族会社自体から外れる、同族以外の第三者に発行済株式総数の10%超を保有してもらうか常勤役員の過半数に就いてもらうことです。
これらが困難であれば、フローチャートの平均額を年800万円以下に抑えるか、平均額が3,000万円以下であれば実質オーナーの給与を平均額の半分以下に抑えることです。

 たとえば、従業員の育成などにお悩みであれば、従業員持ち株会を創設したり、従業員を役員へ昇格させてみてはどうでしょうか。これを実施することで、従業員の意識改革につなげていくことができれば、税金は課税されず、従業員の育成にも一役買うことができ、一石二鳥となるのではないでしょうか。

 また、取引先と持ち合いをすることで、株主の立場として取引先を確認することができるようになりますので、相手先の信用度の確認も現状よりも容易になるかもしれません。

 しかし、経営乗っ取りなどを考えれば慎重に検討しなければなりません。
もしかしたら「物言う株主」につきまとわれてしまう可能性もあります。
また、そもそも家族経営からの脱却を図らなければ、これらの対策がかえって会社運営を圧迫する可能性や、役員の数を第三者で過半数占めてしまうことで経営を自由にできなくなる可能性もあるでしょう。

 今回対象となる経営者や発行済株式総数の定義などについても法人税法では曖昧です。

”経営者”とは誰を指すのでしょうか。発行済株式総数に無議決権株式や無配当株式などの種類株式は含まれるのでしょうか。
このあたりの細かな規定は、全て政令や通達などが発表されない限り、どのようになるのか言及はできません。
現状では、前者であれば対象者は1人、役員給与が一番高い人、でも実態を加味する、などと噂されていますが憶測の域は出ません。
後者の場合、もし無議決権株式等が含まれれば、第三者には無議決権株式を保有してもらうことで、経営乗っ取りなどのリスク軽減を図ることは可能ですが、一体どうなるのでしょうか。

 平均額を800万円以下あるいは3,000万円以下に抑えるために、複数会社を設立したらどうでしょう。
この場合の設立方法は新事業、それとも部門独立?設立手法は新規、分割、それとも別の方法?設立費用のコストや維持費用、税金の問題は?・・・など、検討材料が山積みです。

 もちろん検討にあたっては、今後自社がどのように発展していきたいのか、が最重要です。”NO”とすることでのリスクもよく考えなければなりません。
 リスクと増加する税金の負担を天秤にかけて、初めて自社が採るべき対策を練ることができるでしょう。



   [判定フローチャート]

   ┌────────────┐No            ┌─┐
   │同族会社        ├─────────────┤ │
   └─────┬──────┘             │ │
         │Yes                   │ │
   ┌─────┴─────────────┐     No│ │
   │主宰役員等(※)が保有する株式等の合計 │      │ │
   │ ≧ 発行済み株式等の合計の90%   ├──────┤適│
   └─────┬─────────────┘      │ │
         │Yes                   │ │
   ┌─────┴─────────────┐No     │ │
   │主宰役員等(※)のうち常勤役員の数   │      │用│
   │ 〜 常勤役員の合計数÷2      ├──────┤ │
   └─────┬─────────────┘      │ │
         │Yes                   │ │
   ┌─────┴──────┐No            │対│
   │平均額(※)〜年間800万円 ├─────────────┤ │
   └─────┬──────┘             │ │
         │Yes                   │ │
   ┌─────┴───────┐           No│象│
   │平均額(※)〜年間3,000万円 ├─┐          │ │
   └─────┬───────┘ │          │ │
         │Yes        │          │ │
         │         │          │外│
         │         │          │ │
         │ ┌───────┴────────┐ │ │
         │ │主宰役員の役員給与の額     │No│ │
         │ │─────────── 〜 50%├─┤ │
         │ │    平均額         │ │ │
         │ └───────┬────────┘ └─┘
         │         │Yes      
   ┌─────┴─────────┴────────────┐
   │適用対象:                       │
   │ 損金不算入額= 主宰役員の給与所得控除額       │
   └────────────────────────────┘