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2010年4月2日(金)

ホステス報酬の最終判決
 
 

ホステス報酬の源泉徴収

 キャバレーなどのホステスの多くは給与所得者ではなく事業所得者です。

 でも報酬を受け取るときには所得税を源泉徴収されることになっています。

 徴収額は、1回に支払われる報酬額から、1日当たり5000円を控除した額の10%とされています。


1日当たりの意味

 法律の正式な文言は1日当たりではなく「計算期間の日数」となっています。

 毎週払いだとして、出勤した5日分として10万円の報酬を支払うとしたら、

 (10万円−5000円×日数)×10% 

の 計算式で徴収する源泉税を計算します。

 ここで日数は、7日と5日と、どちらであるかにつき、納税者は7日、税務署は5日を主張して裁判になっているものがいくつかありました。


納税者勝訴となった地裁高裁判決

○川崎南税務署長を被告とする裁判
   平成18年 5月10日 横浜地裁判決
   平成19年 3月27日 東京高裁判決

 ○立川税務署長を被告とする裁判
   平成18年11月21日 東京地裁判決
   平成19年 6月12日 東京高裁判決

 この二つの裁判事案では、敗訴の国側は最高裁への上告を断念し、納税者勝訴となったまま高裁の判決で決着させています。

 

納税者敗訴となった地裁高裁判決

●大宮税務署長を被告とする裁判
    平成18年5月24日 さいたま地裁判決

 ●杉並・武蔵野税務署長を被告とする裁判
    平成18年 3月23日 東京地裁判決
    平成18年12月13日 東京高裁判決

 時期的には納税者勝訴事案と似ていますが、こちらは納税者敗訴判決となっています。

 大宮税務署の事案は地裁で敗訴したまま納税者はそれを受け容れ、控訴しませんでした。

 杉並・武蔵野税務署の事案は、似た時期に納税者勝訴の判決を出している東京地裁・東京高裁が出した全く異なる結果の判決で、これは最高裁に持ち込まれました。


最高裁での最終決着

 最高裁小法廷は、「施行令にいう『計算期間の日数』とは、ホステスの実際の稼動日数ではなく、その期間に含まれるすべての日数を指す」と判決し、解釈の最終判断をし、納税者に逆転勝訴をもたらしました。