2009年11月20日(金) |
支払事実による医療費控除 |
療養上の世話の対価 療養上の世話を受けるため家政婦さんなどに支払ったときは、医療費控除の対象となります。 親族に対しての支払いはどうでしょうか。 国税不服審判所の裁決 平成9年5月16日の裁決では、親族に対して療養上の世話の対価を支払ったとしても、家族介護費についてはそもそも医療費控除の適用はないとの税務署側主張を無視し、支払の事実の有無のみを問題にしていました。 現実の支払の事実が認められれば医療費控除の適用がありそうにも読める裁決でした。 従来の解説 税の解説書では、療養の対価として付添え人に支払うものは医療費控除の対象となるが、感謝の気持ちの謝礼は対価ではないから対象外としています。 そして、家族介護への謝礼は労務の提供への対価の性質をもつものではないから、医療費控除の対象とならない、としています。
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核家族社会の果てに 老後生活費も、介護も、生活扶助も本来は家族の助け合いを基本に置くべきことなのですが、助け合うべき集団としての家族は崩壊し、個族化が進行していると言われています。 他人への支払いは優遇し、家族への支払いは無視するような行政の姿勢も、ここまで家族制度が危機に瀕してくると、危機を助長する役割を果たすことになってしまいます。 対価として親族に支払う 従来の行政側の見解を整理してみると、療養上の世話への費用が医療費控除の対象となるか否かのポイントは、事前に労務の提供の対価としての支払いの約束をした上で、労務の提供がなされ、現実に支払いを履行している、という事実があるかどうか、にあるといえそうです。 家族に優しい税制へ 納税者サイドでも、制度への配慮を施しながら、行政の許容枠を拡げる姿勢があるとよいのかもしれません。 なお、対価の受け取り側は所得を得たことになりますから、場合によっては所得税の申告をしなければなりません。 というよりも、積極的に所得申告することにより、医療費支払事実の裏付けとすべきでしょう。 |
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