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2009年2月12日(木)

ふるさと納税 通販感覚に異議あり
 
 

ふるさと納税の本人負担

 所得税の課税所得500万円の人が55,000円を県や市町村に寄付をした場合は、そのうち5万円について所得税の所得控除として1万円(20%税率)の減税があり、同じく住民税でも5,000円(10%税率)の減税があります。

 残りの35,000円について、都道府県が4割の14,000円、市町村が6割の21,000円の減税をします。

 寄附額の大部分が、減税となり、本人負担は5,000円のみです。

その5,000円を特産品で補てん

 多くの県や市が、一定額以上寄附してくれた人に、この自己負担分の5,000円相当の特産品をプレゼントするとしています。

 たとえば、海産物の詰め合わせやそば、ブドウ、イチジク、ほし柿、イモ、黒毛和牛や地元の野菜、米、ズワイガニ、竹輪などなど、インターネットで検索すると続々とヒットしてきます。

 そして、実際に、特産品を目当てにして、ふるさと納税を検討している人もいます。

一定額以上の寄附とはどれくらい

 さすがに5,000円の寄附に5,000円の謝礼はないようですが、6,000円以上としているところがあります。1万円以上というところが割合多く、3万円以上、5万円以上というところもあります。

 しかし、特産品目当ての寄附も如何わしいが、それを煽る自治体の態度も疑問です。寄附とは、見返りを求めない行為であるべきだからです。

自治体は通販感覚になっていないか

 冒頭のような人が、55,000を5ヶ所にふるさと納税したら、各自治体から5,000円相当のものが五つ計25,000円相当の特産品が届いてきます。本来自己負担とされている5,000円分をはるかに超える利得となります。

 寄付をして、名誉のみならず、物質的利得を得る、というのは、制度の趣旨がどこかで踏みにじられていることになります。

 まるで、5,000円のものが1万円で通販されているかのようです。

寄付文化の振興に貢献するようにすべき

 ふるさと納税はよい制度です。広く薄くが根付けば直接民主主義的寄付文化が花咲くことになります。

 が、特産品目当ての寄附を助長しているようでは、それは期待できません。