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2009年1月6日(火)

『純資産の部』  会社法と法人税法の違い
 
 

 法人税においても「純資産の部」に相当する金額はあります。

 それは、法人税の申告書別表5「利益積立金及び資本金等の額の計算に関する明細書」に表示されます。

 会社法上の「純資産の部」とピッタリ一致しませんが、大部分は対応します。

 それでは、会社法上の「純資産の部」の項目に沿って、その対比をみていきましょう。


(1)「純資産の部」の株主資本

  T 株主資本	
     1 資本金      2 資本剰余金


        @資本剰余金
        Aその他資本剰余金 

  株主資本のこの部分は、

税務では「資本 金等の額」に対応する部分です。これらの
  金額は、株主が会社に払込んだ金額です。

       3 利益剰余金


    @利益準備金
    Aその他利益剰余金
        ×××積立金
        繰越利益剰余金

  税務では「利益積立金額」に対応する部
 分です

  これらの金額は、利益の内部留保額で配当
 財源にもなります。

  そして、

「資本金等の額」及び「利益積立
 金額」は、株主に帰属するものです。


     4 自己株式

 税務では、自己株式の取得、処分は資
 本等取引に該当するため申告調整が必要
 となります。

  具体的には、別表5「利益積立金の計算に
 関する明細書」及び「資本金等の額の計算に
 関する明細書」で調整します。

 

(2)「純資産の部」の評価・換算差額等

   U 評価・換算差額等
      1 その他有価証券評価差額金
      2 繰延ヘッジ損益
      3 土地再評価差額金

  これらの項目は、会計基準では資産、負債
 を時価で評価した結果算出されるものですが
 税務では、一定の要件を満たした繰延ヘ
 ッジ損益は資産、負債の簿価算入です。

  それ故、申告調整が必要となります。


(3)「純資産の部」の新株予約権

  V 新株予約権

  新株予約権は、税務では従来どおり

負債と
  して取り扱っています。したがって、

その発
 、権利行使時、権利失効時には、申告調
 整が伴うこともあります。

  なお、

「評価・換算差額等」及び「新株予
 約権」は株主に帰属しないものです。