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2008年12月16日(火)

遺言書の言葉で、
「遺贈する」と 「相続させる」とに大きな違いが
 
 

遺言書の言葉の使い方に注意

 「遺贈する」という言葉を平たく言うと、遺言により「与える」「譲る」「あげる」などの言葉になります。

 遺言書を書くとき、「私が死んだら私の土地・建物を相続人Aにあげる」と書いた場合と、「私が死んだら私の土地・建物を相続人Aに相続させる」と書いた場合とでは以下の点で大きな違いがありますのでご注意ください。

 言葉の使い方ひとつで、面倒な手続きが必要になったり、知らないと余分な税金を払う結果となってしまいます。


登記に必要な書類

 所有権移転登記手続きをする際に、「遺贈する」と書いた場合は、他の法定相続人と共同で登記申請をしなければなりません。

 このため、法定相続人全員の印鑑証明書等を必要とし大変手間がかかります。

 また、相続人間で争いがある場合は、他の相続人から協力を受けるのが困難なため、家庭裁判所に遺言執行者の選任の請求をしなければならないかも知れません。

 これに対し、「相続させる」と書いておけば、不動産を相続する人が単独で申請することができるので、登記手続きが簡単になります。


登録免許税

 不動産を相続した場合の所有権移転登記に要する登録免許税ですが、「遺贈する」とした場合は、不動産の価格の1000分の20ですが、「相続させる」とした場合は、1000分の4になります。

 ただし、「遺贈する」とした場合でも相続人であることを証する戸籍謄本等を添付して登記申請を行えば、1000分の4の税率が適用されます。


不動産取得税

 「相続させる」とした場合や相続人に対し「遺贈する」とした場合は、不動産取得税は課税されませんが、「贈与」した場合や、相続人でない親族などに「遺贈」した場合は不動産取得税が課税されます。