バックナンバー  2007年4月  2007年5月 
 
2007年6月18日(月)
=シリーズ租税雑学= 応益税と応能税
 
 

応益税と応能税とは?

 どのような課税方法が公平であるかという問題に関して、議論される時の考え方であって、今ある税金のすべてを、これらどちらかに厳密に区分することは困難です。

  • 応益税(応益原則)とは、行政によるサービスの恩恵を受ける者に対してその恩恵の量に応じて課す租税です。
  • 応能税(応能原則)とは、負担する能力のある者に対してその能力に応じて課す租税です。

国税は「応能税」地方税は「応益税」

 一般的には、国税は応能税、地方税は応益税的な傾向を持つといわれております。

 国税の、所得税・法人税・相続税等は、「応能税」の代表です。しかし国税に於いても、「揮発油税及び地方道路税」いわゆるガソリン税等は、道路の整備で恩恵を受けるであろう車の使用者を対象にした「応益税」的な性格を有しております。

 だだし現在議論されている道路特定財源の一般財源化がなれば、消費税同様「応能税」的性格になろうかと思えます。

 地方税における均等割や、固定資産税などは、「応益税」の代表です。

 固定資産税は、固定資産そのものに着目して課税するのであって、その固定資産の所有者自身に担税力があるかどうかは一般に考慮されておりません。

事業税はどうなったの?

 また事業税は、道府県民税で、本来「応益税」として導入されましたが、その実体は法人や個人の利益に課税する「応能税」でした。

 これに対して、市町村民税の事業所税は事業所の、面積と人数に課税する「応益税」でした。

 しかし、事業税は赤字の事業者が増えることにより、税収が落ち込み、平成16年の税制改正で、資本金1億円超の法人には外形標準課税が導入され、一気に「応益税」的性格を有することになりました。