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2007年6月4日(月)
全国で10名余のための制度

 
 

最近の状況

 衆議院予算委への提出資料で知られることになった、平成17年度は13名で、その前年9名、その前年10名という数字があります。

 大幅な伸びともいえますが、分母を見る必要があります。

 なんのことかといいますと、5000万サラリーマンのための特定支出控除という制度利用者数です。


特定支出控除とは

 サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年(昭和62年)に創設されたもので、給与所得者が特定の支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引ける、というものです。

限定的な特定支出

 特定支出は、

  1. 通勤費、
  2. 転勤に伴う引っ越し費用等、
  3. 研修費、
  4. 一定の資格取得費、
  5. 単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費

   の5つだけです。

 ちなみに、平成17年分13名の適用費用の内訳は、資格取得費6件、研修費5件、通勤費4件、転居費1件の計16件でした。

ケチくさすぎるし、面倒くさすぎる

 左記の5つの特定支出は、給与の支払者が証明したものに限られ、また、給与の支払者から補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分が課税されていないときは、その部分は除かれます。

 確定申告の際には、特定支出に関する明細書や給与の支払者の証明書を申告書に添付し、搭乗・乗車・乗船に関する証明書、支出した金額を証する書類を申告書に添付または提示する必要があります。

しかし本当の理由は

 特定支出控除制度利用者が少ないのは、ケチや面倒という理由以上に、わが国の給与所得控除が勤務費用の概算控除と位置づけられながら、その実際水準を何倍も上回る事実上の架空経費控除になっていることに本当の理由があるからです。