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2007年5月22日(火)
印紙税の限界
 
 

印紙税課税の根拠

 印紙税は、契約書や領収書などの文書が作成される場合、その背後に取引に伴って生じる何らかの経済的利益があり、また文書化により取引事実が明確となり法律関係が安定化するという点に着目し、ここに担税力を見出して課税していると言われています。

限定列挙されている課税文書

 課税されるものは、印紙税法別表第1の課税物件表に列挙されている文書に限られここに掲げられていない文書は、たとえその文書が財産的に重要な意味をもっていたとしても課税されることはありません。

納税義務の発生と納税義務者

 印紙税の納税義務は課税文書を作成したときに成立し、その納税義務者は課税文書の作成者です。

 また、売買契約書等の共同作成文書では共同作成者の連帯納税義務とされています。

印紙税は時代遅れになろうとしている

 印紙税について、最近課税を困難とする動きが現れています。

 その第一はペーパーレス化です。

 領収書が省略される振込制度の普遍化・電子公証・電子署名・電子押印も制度化され、電子商取引・電子立国が急がれる時代では、ITリテラシーの低い者への差別的課税になりつつあります。

国境を越えると課税できない

 印紙税課税困難の第二はグローバリゼーションです。

 印紙税法は「属地主義」を採っており、「文書作成時の場所を基準とした課税」を旨としているので、「取引場所」「証明目的」「証明効力」の面において何ら異なることのない文書であったとしても、その文書に基づく権利の行使又は文書の保存が国内で行われるものであったとしても、文書の作成場所が国外であるという理由だけで課税対象外になってしまいます。