バックナンバー 2006年9月 2006年10月 
 
2006年11月13日(月)

定時株主総会における配当・役員賞与等の議案の上程は!

 
 

 会社法の施行にともなって、旧商法上の利益処分案・損失処理案は廃止されました。         
 その理由は、配当、剰余金の処分はいつでも行えるようになったこと(株主総会決議は必要)、役員賞与は、利益処分でなく報酬決議を根拠として支給することになったことによるものです。

 しかし、いつでも配当ができると言っても、中小会社では、配当や剰余金の処分は、定時株主総会によって決議、承認されることが一般的であると思われます。

 そこで、会社法において、利益処分案の中で行われてきた各種手続、主として配当、剰余金の処分、役員賞与は、どのよう形で定時株主総会に議案として上程されるのか、いろいろあると思いますが、その内容を概観してみたいと思います。

(1)配当に関して

  これは、「剰余金の配当に関する件」という形でその内容(1株当たりの配当金、配当金の総額、基準日、効力発生日、その財源の源泉)を記載した議案を株主総会に上程、その承認をもって行うことになります。

(2)任意積立金の積立、取崩に関して

  これは、「剰余金の処分に関する件」として、その内容、具体的には、繰越利益剰余金(旧商法の未処分利益に相当)から別途積立金にいくらを組入れるかといった金額を記載した議案を株主総会に上程し、その承認をもって行うことになります。

(3)役員賞与に関して

  会社法では、役員賞与は、役員報酬の一部として職務執行の対価たる性格を有するものとされました。したがって、役員賞与の支給も報酬限度額の枠内であれば、特に、議案の上程は要求されません

 しかし、過去の実務慣行を尊重する立場、また、通常の報酬の枠外とする立場からでは、「役員賞与支給に関する件」という形で、その内容(取締役等の役員賞与支給総額)を記載した議案を上程し、その承認を得ることが必要となります。